ハルとオオカミ



呆然として彼を見つめ返す私に、五十嵐くんはそれ以上何も言わず、自分の席に着いた。


そのときちょうど、始業のチャイムが鳴り響いた。


みんなが私を心配そうな目で見てから、自分の席に戻っていく。私は少しの間、そこから動けなかった。


……え? なに、なに言われたの、今。どういうこと?


なんで。昨日まで普通に話してたのに。


あんな目、向けられたことない。急になんで?


ーー『もう、こんな問題児に構ってくんなくていいよ』


……ちがうよ。


私は、五十嵐くんが問題児だから話しかけてたわけじゃない。

私が委員長だから、優しいからほっとけなかったんじゃない。


私は……。



「はる。とりあえず、席着こう」



そばでアキちゃんの声がして、ハッとした。


振り返ると、アキちゃんが辛そうな顔をして私を見ている。


「アキちゃん」と私が震えた声で呼ぶと、彼女は優しい声で「うん」と返してくれた。