ハルとオオカミ




五十嵐くんは怖い人なんかじゃないんだ。


みんなも私と同じように話せるし、みんなと同じように笑って話してくれるんだよ。


その笑顔がめちゃくちゃ素敵だから、全人類拝見すべきで……。


「委員長、手伝ってあげたんだ? やさしー」


突然近くから聞こえた声に、五十嵐くんのことを語っていた脳内が思考を止めた。


見ると、昨日五十嵐くんを犯人扱いしていた男子が、旗を見上げて立っていた。


私の視線に気づくと、彼もまたこちらを向く。


「委員長、やっぱ五十嵐のこと好きなんだろ」


ニヤッとからかうような顔で言われて、顔が熱くなった。同時に腹が立ってくる。


私が一生懸命大事にしてるこの気持ちを、そんな簡単な言葉で言い表して、見抜いてやったみたいな顔しないでよ。



「お前、昨日からうるせーんだよ」



言い返そうとしたら、強い声が先に聞こえた。


五十嵐くんだ。彼は自分の机に鞄を置いて、そこからこちらを……正確には男子の方を睨むように見ていた。