ハルとオオカミ



「できた!」


学校が閉まる午後七時前。筆をバケツにチャポンと落として、私は立ち上がった。


五十嵐くんも同じように旗を挟んで向かい側で立ち上がる。完成した旗をふたりで見下ろした。


真っ赤に染まってしまった部分は、お日様のイラストにして利用した。


もとのデザインより全体が明るくなって、より目立つものになった気がする。


「すごいよー、できたできた!がんばったねえ」

「……ん」


五十嵐くんは相変わらずクールな表情だけど、ちょっと満足げに見えるのは気のせいかな。


絵の具で汚れていない指で、旗の端と端をつまむ。そのまま黒板の前まで歩いて、きょろきょろと周りを見回した。


すると、五十嵐くんが無言で隣に歩いてきて、黒板の端についてあったマグネットを4つとってくれた。


「ありがとう」

「んー」


マグネットで旗を押さえて、黒板に掲示する。


これで明日の朝、みんな自然と旗を目にすることになるだろう。流れで説明しちゃえば、五十嵐くんの印象も挽回できる気がする。