ふたりで無言でココアを飲みながら、『2-B』の文字の半分が赤に消されている旗を眺めた。


見ていると、なんだか悲しい気持ちになってくる。


赤は、五十嵐くんの色だから。

この色でこんなことになっちゃうの、悲しいよ。



「……五十嵐くんは、なんで『自分がやった』って嘘ついたの?」



そっと尋ねると、缶を片手に作業を再開しようとしていた五十嵐くんは、一度目線をあげて私を見てから、また目線を旗へ戻した。


「河名さんは、なんで俺じゃないって思うの」

「……たぶん、やっちゃったのは五十嵐くんの横にいた鈴菜ちゃんだと思う。すごく焦った顔してたから」

「……そ」


五十嵐くんが、赤くなってしまった部分に塗るはずだった色を重ね塗りする。


私も筆をとって、同じように塗り始めた。