ハルとオオカミ



友達という友達も、未だに高校ではできてないみたいだ。女子は完全に怖がっているし、男子も五十嵐くんの他とは違うオーラみたいなのを感じて、気後れしている。


中には『調子に乗っててムカつく』と言って一方的に敵意を向ける人なんかもいて、去年に一度、クラスの男子とトラブルが起きている。


それでも彼は周りの目なんか全然気にしてない。


自由気ままに校内を歩き、寝たりサボったり。いわゆる一匹狼ってやつだ。用があったら誰だろうと臆せず話しかけるし、人によって態度を変えたりもしない。


そういうところだ。私が彼にどうしようもなく惹かれて、憧れるのは。



「河名さん。これ、合ってる?」



見惚れていたら、いつの間にか目が合っていて驚いた。


「えっ? ……あ、み、見せて。えと……合ってるよ。大丈夫」

「よかった。……河名さん、まだ時間ある?」

「うん。このあとは特に用事ないよ」

「まだ教えてもらいたいとこあんだけど、いい?」

「いいよ。私で良ければ」


これも委員長の役目。そうだ、委員長なんだから。クラスメイトを助けるのは当然だ。