ハルとオオカミ



「だだだダメだよ。そんな恐れ多いこと考えられない……! ていうか、これ以上仲良くなったらただのクラスメイトと委員長じゃなくなっちゃうし」

「えー。面倒くさいなあ、はるは……。せっかく憧れの存在と友達にだってなれるのに、それすらも遠慮しちゃうなんて、正直あたしには理解できない」

「…………」


そうかなあ。おかしな考え方してる、のかな?


でも、今まで遠くから見てるばかりだったアイドルがすぐ近くにいて、友達になれるって言われたら、みんなびっくりするでしょ?

信じられない、恐れ多すぎ、って思うでしょ?


私はクラスメイト以上友達未満の今の関係に満足してるんだ。これ以上を求めたら罰が当たっちゃうよ。


高望みしないって決めたんだ。だから脳内と心臓と表情筋、いい加減落ち着け!


にやつく頬を必死に戻す私を、アキちゃんは呆れとまだちょっと納得いかないって顔して見つめていた。





放課後、担任の先生に雑務を頼まれて仕事をしていたら、午後五時半になっていた。