「あたし、この前五十嵐が浦波の女の子と一緒にいるの見た」

「あ、ウチも見たことある。でも彼女じゃないらしいよ? しかも、毎回連れてる女の子違うって」

「えー、マジ!? やばっ」

「確かに顔だけはいいもんね……。怖いけど」


私とアキちゃんは何も言わない。アキちゃんはちょっと心配そうな目で私を見ている。

私はただただ、笑っていた。



……アイドルに恋するのが不毛なのは、恋したって無駄だってわかってるからだ。


叶う可能性がちょっとでもあるなら、みんな夢を見るかもしれないけど。


はじめから叶いっこないってわかりきってるなら、遠くから眺めている方がよっぽど幸せじゃないか。