ーー『だから日向ヶ丘なんか行かない方がいいって言ったのに。マジメな真央とか真央じゃないよ』
このまえ街中で会ったとき、彼女が五十嵐くんに言っていたことを思い出した。
クラスの代表として前に出て表彰される五十嵐くんの姿は、彼女の目にどう見えているんだろう。
奈々未ちゃんは私の視線に気づくといっそう眉間にしわを寄せた。そしてこちらに背を向けて、一緒にいる人たちとともにその場を去っていった。
「…………」
クラスの列に戻っていく五十嵐くんを横目に、私は複雑な気分になっていた。
…………さっきの男子といい、今のといい。
五十嵐くんのおかげで幸せな気持ちだった心の中に、ほんの少しモヤモヤした気持ちを残したまま、今年の体育祭は幕を閉じた。



