ハルとオオカミ




私は前でその光景を見つめながら、こみ上げる何かを感じていた。


……ああ。なんか、言葉に出来ない。



胸がいっぱいだよ、五十嵐くん。



彼は面倒くさそうな顔をして前に出てきた。他の代表者と一列に並ぶ途中、校長先生に賞状を渡す私と目が合った。


私がへらりと笑うと、五十嵐くんは不満げな顔をして見せた。『最悪』って顔が言ってる。ふふふ。


五十嵐くん以外に務まるわけないじゃん、この役目は。


先生に賞状を渡すと、私は委員の列に戻った。


生徒たちからは表彰される人の背中しか見えないけど、前に出ている私からは表彰されている五十嵐くんの顔がばっちり見える。ラッキー!

表彰式の手伝い、ちょっと面倒だと思ってたけど役得だった! 先生ありがとう!


五十嵐くんがクラスの代表者として表彰されている歴史的瞬間に立ち会えた感動に、心の中で滝のような涙を流しながら拍手した。ブラボーブラボー!

ありがとう、うちのクラス旗を選んでくれた先生。ありがとう五十嵐くん。ありがとう世界。