ハルとオオカミ




「……“お、思わず聞き入ってしまいましたね。みなさん、彼と彼女に盛大な拍手を! ありがとうございました~”」


実況の声と、大きな拍手の音が私たちを包む。


私は両手で顔を覆って、涙を隠そうとした。

そうしたら手首を掴まれて、顔から手が離れた。涙に濡れた目が露わになり、彼と目が合う。


五十嵐くんは優しく目を細め、私を見ていた。




「堂々と前向いてろよ。俺みたいになりたいんだろ」




……五十嵐くん。


五十嵐くん。五十嵐くん。



――『だから俺も大事にする。はるが格好いいはるのまま、傷つかないように』



……約束、したもんね。



大事にするって、言ってくれたもんね。



「……ありがとう、五十嵐くん……」



涙で、彼の姿がぼやける。

彼がいっそう柔らかく笑ったことだけはわかった。