ハルとオオカミ





「“……二年B組の河名はるさんは、クラスメイト想いの委員長です”」




……彼の声がスピーカーから流れグラウンド中に響いた瞬間、その場がしんと静かになった。

彼はそんな周りの変化を気にする様子もなく、堂々とマイペースに話を続けていく。



「“頼まれた仕事はクソ真面目なくらいキッチリやるし、バカみたいに他人のことばっか心配してるし、そのくせ学年一位の成績を崩さない見栄張りの格好つけでもあります”」



……ところどころ、表現が気になる部分はあるけど。

彼がまっすぐ、心からそう思い、そのまま言葉にしてくれているということは、私にもわかった。


「“けど、このひとは見栄じゃなくホントに格好いいです。こんな俺のことまで一年前からずっと見ててくれて、頑張ってクラスの輪の中に入れてくれました。おかげで今は、学校が結構楽しい”」


……『楽しい』。

穏やかに笑って、丁寧に紡ぐようにこぼれたその言葉を聞いた瞬間、私の視界がじわりと歪んだ。



「“俺を最初に見つけて、ずっと変わらず『委員長』として俺を見ててくれた。だから俺も、俺なりに委員長が誇れるようなクラスメイトになります。ってことで、俺にとって『学校一カッコいい人』は、このひとです”」



彼はそう言うと、これで終わりというようにマイクから一歩引いた。

実況の人は惚けたように言葉を失っている。

やがてグラウンドの端からは拍手の音が聞こえ、全体に広がった。