ハルとオオカミ




――え? 


その瞬間、カメラ越しに目が合った気がした。


気のせいだろうかと思ってカメラから目線を上げると、どんどん彼がこっちへ向かって歩いてくる。


隣でアキちゃんが息を飲んで、周りの女子たちがわあっと小さく声をあげたとき、五十嵐くんは私の目の前に立っていた。




「はる」




彼はいつも通りの声で私を呼んだ。


目を見開く私の手からするりとカメラを奪うと、それをアキちゃんに渡した。そしてそのまま私の手を掴む。



「来て」



五十嵐くんは短くそれだけ言うと、私の返事も待たずに私の手を引いて連れ出した。クラスの女子たちがきゃあきゃあと騒ぐ声から遠ざかっていく。