ハルとオオカミ




「“では、借り物を教えていただけますかー?”」



質問された男子生徒は、顔を真っ赤にしながらも勇気を振り絞った様子で答えた。



「“……い、『今 気になっている人』です”」



次の瞬間、グラウンド中が女子たちの黄色い歓声と二人をはやし立てる男子たちの声で包まれた。


「ヒューヒュー! いいぞー」

「付き合え付き合えー!」


……これが、この借り物競走が『目玉競技』と呼ばれる理由、らしい。


なんでも、この競技で毎年数組のカップルが誕生するとか。


男女で手を繋いでゴールしたふたりは周りに盛り上げられ、恥ずかしそうにしながらも手を繋いだまま、その後どこかへ消えるともっぱらの噂だ。どこへ消えるというのだろう。一応学校行事の真っ最中なんだけど。


今回のふたりも周りからやんややんやと言われながら退場し、照れくさそうに顔を見合せているのが見えた。

一年生かな。

このあといい雰囲気になって付き合ったりしちゃうんだろうか……。