ハルとオオカミ



――パアン、とスタートを合図するピストルが鳴った。


第一走者たちが走り出すと同時に、実行委員らしき男子生徒がマイクを持って実況を始める声が聞こえてきた。

五十嵐くんは第三走者なので、まだ出番は来ない。


第一走者たちが地面に置かれた紙を拾い、指定された借り物を確認する。


この内容が毎年実行委員のおふざけ満載で、選手たちがあれこれグラウンド中を駆けまわって物や人を探し回るのが面白いと好評らしい。


借り物はグラウンド内で得られる体育で使う道具から、生徒席から借りてこないと得られないものまで様々だ。だけどやっぱりいちばん盛り上がるのは……。



「“おっ、一位の選手が帰ってきましたー! 一緒にいるのは……女子だ―! 女子生徒と一緒にゴールテープを切ったー!”」



実況の盛り上がりに合わせて、生徒席からも歓声が上がる。


一位でゴールテープを切った男子生徒は、女子生徒の手を握っていた。


実況の生徒がニコニコしながらふたりに近づいていく。ふたりは恥ずかしそうにゴールテープ付近に立っている。