ハルとオオカミ



「そ、そんなのどうでもいいよ。五十嵐くんを馬鹿にする人に優秀だと思われても嬉しくない!」

「それは違うだろ。お前が頑張ってきたことを正しく評価してる奴らが、たまたま俺のことは気に食わなかったってだけだ」

「……私が憧れてるのは、五十嵐くんだよ。私が『委員長』なことで五十嵐くんが申し訳なく思うんなら、こんな地位いらない」

「はる」


五十嵐くんは、私の頬を両手で優しく包んだ。


強くてまっすぐな瞳と目が合う。それに見つめられると、私は何も言い返せなくなる。

私の奥深くまで、すべてを見透かすような聡明な瞳。



「……みんなの期待に応えて頑張る『委員長』のはるも、俺は格好いいと思ってるよ。お前が一生懸命作り上げたものを捨ててまで、俺に憧れてほしくはない。俺を大事に思ってくれんのは嬉しいけど、その前に自分の努力をちゃんと大事にしろよ」



その言葉は私にとても優しく、それでいて厳しく響いた。


『優等生』。『委員長』。

薄っぺらいその称号は、だけど確かに私が努力して手に入れた私のものだった。