ハルとオオカミ



五十嵐くんはわざわざ『指導』されるようなことは何一つしてないのに。だからこんなこと言われるのはおかしいって。訴えなきゃいけないのに、声が出ない……。


こういうとき、私は私が嫌になる。目の前の理不尽な現実に打ち勝てない自分は、本当はすごく弱い人間なんだって実感する。


……私は今まで、自分が思う理想の姿を追い求め、必死に努力してきた。

先生から頼まれた仕事をこなしながら成績もキープして、クラスメイトや先生、周りからの期待に応えて。


他人から見たら私は『優等生』で、『模範的』な生徒だろう。

私はずっとその称号を誇りにして学校生活を過ごしてきた。これが私のアイデンティティで、キャラクターで、地位だからって。

そんなの、結局は周りの人のイメージで塗り固められたただの虚像なのに。