ハルとオオカミ



……ああ、色々バレまくってるなあ。


この前、うっかり『憧れてるんです!』と自爆発言をしてしまったけど、悔やんでも仕方がないのでむしろ開き直ることにした。

私は五十嵐くんに憧れているのでカメラもつい五十嵐くんばかり向いてしまうんです。憧れてるから仕方ないんです。


たぶん今はまだ、私の彼に対する気持ちは『憧れ』の域を出てないと思われてる……と思う。人としてめちゃくちゃ尊敬しているだけ。だから思わず目で追っちゃうだけ。

……もしかしたら、勘づかれてるかもしれないけど。


きっと五十嵐くんは、私から言い出すまでは知らないふりをしてくれるだろう。


よく言えば優しいひとだから。悪く言えば面倒くさがりで無頓着なひとだから。

でも今はそれが有難い。


……私自身が結局どうなりたいか、まだわかってないんだよね。


私は、五十嵐くんに恋をしている。


それは認めるけれど、だからといってすぐに彼に告白して、彼女になりたいとは思ってない。

彼に憧れている、だから彼に近づきたい。彼に似合うひとになりたい。今はそれで精いっぱいだ。







パン食い競走の結果は三位。やっぱり可もなく不可もない感じが私らしいなと思った。


パン食い競走は午前の最後の競技だったから、そのまま昼休みになった。