ああ、私(の親)の所有物が推しの手に……。うっかり自撮りとかしてくれないだろうか。デジカメで自撮りとかするわけないけど。
五十嵐くんはご機嫌な様子でカメラを起動する。そしてなにやらボタンを押すと、小馬鹿にしたようにニヤッと笑った。
「……つーかフォルダの中、俺ばっかだし」
うわーーーー!! フォルダ見られたーー!
「ち、違うの! 輝いてるクラスメイトを撮ってたら、なんていうかこう、だいたい赤い髪の人が映り込んじゃったというか!」
「はいはい今更だから。はる、今日俺ばっか撮ってただろ。あんな堂々とされたら逆になんも言えねえっつの」
「す、すみません……」
いくら言い訳を並べても結局は盗撮なので謝った。怒らないでいてくれるのが優しい。
それからしぶしぶ五十嵐くんにカメラを預けて、クラスのテントから離れて集合場所へ向かった。



