「前にはるが『他の奴に何言われてもどうでもいい』って言ってたの、俺も同じだよ。けど、俺自身がお前のこと傷つけるかもしんない。だからやっぱり俺ら、本当なら一緒にいない方が……」
「っあの、私!」
たまらず口を挟んだ。
『一緒にいない方がいい』。恐れていた二度目の言葉を言われ、とにかく否定したくて真っ白になった頭のまま叫んだ。
「五十嵐くんに憧れてるんです!」
それまで神妙な面持ちで語っていた五十嵐くんは、面食らった様子で言葉を失った。まさにポカンという顔をしている。
「……は?」
「あの、その、いつも堂々としてるところとか、自分を貫いてるところとか、入学式の日からずっと憧れてて! 私もそんな風になりたいなって思ってて……!」
「マジ? 初耳だわ」
「だからっ、五十嵐くんと私は全然違うのかもしれないけど、五十嵐くんの世界にちょっとでも近づけるなら嫌なことなんてひとつもない! だからその、め、めんどくさいって思うかもしれないけど、私と友達やめないでください!」
今度はガバッと頭を下げた。再びその場に沈黙が落ちる。



