ハルとオオカミ



「つか五十嵐、ガッコで友達出来たんだ? よかったじゃん」

「怖がられて全然友達できねえってつってたもんなー」


あ、そうなんだ……。五十嵐くん、去年はよく街中で浦波高校の人たちといるのを見かけてたけど、そんなこと話してたんだな。

やっぱり友達いないの気にしてたんだ……。


男の子たちがわいわいと五十嵐くんに話しかける中、ふいにナナミちゃんが五十嵐くんの腕をつかんで、身体を寄せた。



「……ねえ。真央さあ、最近ウチらのとこ来ないじゃん。どーしたの?」



五十嵐くんの腕が、彼女の胸元に押し付けられる。彼はそれを拒否することもなく、当たり前のように受け入れていた。


そんな親密な様子を目の当たりにして、喉の奥がつまった。

……わかってたけど。知ってたけど。


目をそらしたくなってしまうのは、仕方ないと思う。


「どうって……真面目に授業受けて課題してんだよ。今日までテストだったし」

「えっ、うそ! 真央、勉強してんの!?」


ナナミちゃんは信じられない、という顔をして五十嵐くんを見上げた。