ハルとオオカミ



「真央じゃーん! なにしてんの?」

「別に……。普通に買い物?」

「あはは、買い物ぉ? ……てゆーか、誰?」


女の子の目が私に向いた。目が合ってドキリとする。

彼女の目が、私の存在をあまり歓迎していないのはすぐにわかった。『なんでこんな子と一緒にいるの』って、その目が言ってるんだ。


「えっ、もしかして彼女!?」

「うわ、こんな純粋そうな子まで手え出してんのかよ! さっすが五十嵐」


周りの男の子たちも五十嵐くんの友達なのか、興奮した様子でげらげら笑っている。

『まで』って……。五十嵐くんが遊んでるのは知ってたけど、『さすが』とまで言われるほどなのか。


「……お前らうるせー。学校の友達だっつの」


五十嵐くんが答えると、男の子たちは「だよなあ、よかった!」と笑った。相変わらず、ナナミちゃんの私への厳しい視線は変わらないけど。