遡ること数ヶ月前、、


「…という訳なんで辞めさせていただけませんか?」

父は私が一応社員として働いていた…まぁ、割と評判の良かったカフェに出向き、私に退職届を提出させた。

オーナーは酷く怒るかと思ったがレンという名前を聞いて途端に口を閉じた

『え?ああ、レンさん…その人の頼みなら仕方ないですね』

後半は終始ニコニコしててあのいつも周りを怒鳴りつける人とは思えず鳥肌が止まらなかった

というか、私の意思はガン無視なんですかね。などとはこの空気では何も言えなかった

まぁ、そろそろ辞めようかとは思っていたからかえって都合が良かったのもある

父にされるがままに職場を辞めさせられ、一番近いスーパーまで1時間以上もかかる山奥のここ、pâtisserie RENに連れてこられた

外観はログハウス風の小さな建物で、中はレジ横に何品か冷蔵の食品が並べられる小さなショーケースが一つとパンが置ける棚が幾つか

パンがメインのお店のようでイートインスペースは無い


「今日からお前はここで店長兼接客兼製造をしてもらう!」

「…………は?」

兼任多くないか?