親指ぐらいの傷なんだけど
白い壁に目立つ。

「時計かカレンダーか、ポストカードとかでもいいです。隠す物があれば嬉しいですね。何かないでしょうか」

「うーん……あ!」

畑山さんは自分のデスクをガサゴソ探り、文庫本サイズの額に入ったイラストを渡してくれた。

おおっ!これは!
有名なイラストレーター【H】の作品!

今、海外でも大人気。
私の大好きなバンドのアルバムジャケットでも使われていて、私も部屋に飾ってる。
画集は高いから買えないけど
独特なイラストで大胆だけど繊細で大好き。

「大きさ丁度いいんじゃない?」

「ですね。これいいなぁ、私大好きなんですこの作家さん」
うっとりとイラストを見つめてしまう。
シーソーで沢山の動物が遊んでる図。
でもみんな目が怖いという図。
このチーター色っぽいわ。

「そう?下手だよ」

「何を言います!大人気ですよ。これどこで手に入れました?雑誌の切り抜き?私も欲しいなぁ。原画なんて絶対買えないから複製画でもいいから欲しいけど……いや、複製画でも無理」

「それ原画」

「はい?」

「壁の傷隠しにはなるでしょ」

こんな高い原画を?