「なっ!何を……何をしてるんです!」
ただ驚いているターゲットにスマホを合わせ、大きな声で「杏ちゃんも早く!」と私を急かす。
私はその迫力ある声に丸め込まれ
同じくスマホを2人に向けて指を滑らせる。
「動かないで!そこにピカチュウがいるんです!」
畑山さんはそう叫んで目の前の2人を圧倒した。
「やっと巡り合えたピカチュウです。ここで邪魔したら一生恨みますよ!」
逆恨み……そんなんで恨まれても困ります。
そう言われた2人は「うぅ……」と変にうなって文句も言わずに写されたまま。
いや日本人ってスゴイよね。
義理人情に厚いというのか
助けあい精神というのか
「ありがとうございました。ピカチュウゲットだぜ!さぁ杏ちゃん帰ろう」
畑山さんは早口で礼を言い
私の手を引っ張り猛ダッシュ。
ポケモンGOかよ!
あぁ畑山さんの長い足の速度が速い。
足がもつれるよ
息を切らしながら全力疾走。
そしてけっこう遠い距離まで逃げてきてからの
「素晴らしい名案だったでしょ」と、ドヤ顔。
早く次の職場をGOしよう。



