それでも畑山さんは負けずに私の肩を抱く。
まぁ
おとり捜査だから仕方ない。
理性を忘れずに仕事しよう。
「今回はデジカメのバッテリーは完璧ですよね」
たしか昨日はバッテリー切れでデジカメを使用できず、スマホで撮影してたら夢中になってバレてしまい、ボコボコにされていたはず。
「いや、今日はスマホで撮影します」
「難しくないですか?どうやって撮影します?」
「大丈夫。昨日僕は素晴らしい名案を思い付いたんだ。名探偵は違うねやっぱり」
自画自賛。
うっとりと酔ってる酔ってる
自分に酔ってる。
「杏ちゃんも一応スマホの用意しておいて、一緒に写そう」
「私もですか?」
いや
ふたりで一緒にパシャパシャやったらバレバレでしょう。
私の想像でいくと
私が盾になって
私の陰で畑山さんがコソコソと撮影すると思ってたんだけど
違うの?
不思議そうに見上げると
自信満々で畑山さんはニッコリ笑ってた。
イケメン……じゃなくて
すんごくすんごく
不安です私。
いざとなったら
置いて逃げ出すぐらいの気持ちでいなきゃダメかもしれない。



