「そこで杏ちゃんの出番なんだ」
「はい?」
「協力してね。さぁ到着」
畑山さんは細い裏道をあちこち通って、車はアッと言う間にホテル街。
さっきまで閑静な住宅街もあったはずなのに、わき道を通っただけで知らない建物が沢山並んでた。
我々が乗ってる怪しい不動産屋の車はコンビニ前に停まり、畑山さんと私は外に出た。
隠れる場所もなさそう
どこから写真を撮るんだろ。
それも証拠写真だから
しっかり撮らなきゃいけないし
チャンスは一度しかないから
しっかり写さなきゃいけないよね。
何気に緊張して武者震い。
「寒い?」
「コート着るから平気です」
手に持った自分のコートを着ようとすると
「僕が温めてあげる」と、畑山さんは私に近寄り自分のコートで私を包む。
なっ?なにこれ!
スッポリと私は畑山さんに後ろから抱かれて、その長身な身体に包まれてしまった。
パニック!
背中が熱い
てか
頭に顔をのせないでーー!
近い!近すぎる!
耳ーーっ!
耳に息をかけないでーー!



