いやもう……これはもう。
問題外でしょう。

無理です。ダメダメ。
実力ないのにどんだけドリーミーなの。

こんな無茶苦茶なダメ探偵の助手なんて命が足りない。

関わったら最後だ。

私はサンドイッチの残りを一気に口にしてコーヒーで飲み込んで、そそくさと立ち上がる。

「すいません。今回はなかったお話にして下さい」

とりあえず
食事をごちそうになったので結果オーライ。

しっかり頭を下げて畑山さんの隣を通り過ぎようとしたら

「時給じゃなくて日給にしようか。1万出すよ」と、軽く言う。

いちまんえん。
5日間で5万円。10日間で10万円。
20日間で20万円。
それだけあれば
高い国民年金も健康保険も払える。
クレジットの支払いも可能だ。

身動きを止めた私を楽しそうに見上げた端整な顔は、とってもとっても魅力的。

「テイクアウトでもする?」

「……お願いします」

「明日から働く?」

「……お願いします」


 貧しさは

思考も理性も狂わせる。