「でもね、きっとそのうちに遺産相続を巡る殺人事件とか、宝石を狙われた金持ちの家からの依頼とかやってくるから大丈夫」
そして彼は親指を立てる。
自信満々な笑顔はプライスレス。
その依頼は、探偵より警察だと思います。
「さっきの相手は誰です?」
「え?」
私の質問に
探偵先生の顔が気のせいか引きつっている。
「さっきのチャラいお兄さんですよ。事件の犯人とか?」
「ん?えーっとね……うん。依頼主の奥さんの浮気相手と思ったけど違った」
「人違いして怒られたんですか?」
「いやそうじゃない。僕の仕事は正確なる報告書の提出。疑惑をかけた男を尾行し写真を撮ろうとしたらデジカメのバッテリーが切れていて、スマホで撮影してたら遠くて上手く撮れなくて、気が付けば間近でバシャバシャ写してたら……怒られた」
とーぜんだわ。
いや
その前にバッテリー切れって何?
初歩的ミスすぎて突っ込めない。
「人違いで怒られた理由じゃない。あくまでも近距離無許可撮影で怒られた」
「当たり前ですよ。そして結局人違いだったんでしょう」
「だから助手が必要なんだって」
問題をすり替えるなっ!