「僕は生まれる前から探偵なんだ」
畑山直樹さんはフッと息を漏らしながら、遠い目をして景色を探す。
カッコいい……顔は……いい。
「前前前前前前前世界から、僕は探偵をやっていたと思う」
今の流行のフレーズを真似したのなら
前の文字が多すぎる
そんな前なら
いっそ江戸時代?いやその前かな。
ドヤ顔をやめない畑山さんは、顔はいいけどバカかも。
「表に出ない職業なので、さっきみたいに危ない目に合う事も多いんだ」
「ボコボコにされれる一歩手前でしたものね」
素直に言ったらムッとして「強者はむやみに手を出さない」と、言う。
「強いなら私はいらないでしょう」
「……たまに……弱い……かも。痛いの嫌いだし」
つまり弱いんだ。
「お仕事内容を教えてもらえますか?やはり、危険な仕事が多いんですか?」
殺人事件とかもあるのかな。
ドキドキして質問すると
「えーっと……浮気調査とか……」
はい?
まぁそんな時代か。ゲスな時代だからね。うんうん。
「浮気調査とか……浮気調査とか……浮気調査かな」
結局それかい。
「あ、でも先週は猫も探した」
そしてドヤ顔再び。



