「離してもらえます?」
「あ、ごめん」
男は軽く返事をして私の肩から手を離し、にっこり私に微笑んだ。
やばい。
やばいやばい。
その甘い笑顔 ドストライク。
私は顔を見ないようにうつむき
「じゃ」って去ろうとすると
「僕の助手にならない?」
明るい声が背中を包む。
助手?
『お茶しよう』じゃなくて
『助手にならない?』って言った?
「はい?」
変な誘いに振り返ると
男はキラキラした目で私に近寄り
ギュッと両手で私の頬を挟んだ。
大きな手で頬を挟まれ
どうしていいのかわからない。
イケメンだから手も出ない私。
「僕は探偵なんだ」
男はそう言って私の顔をギュッと上にする。
灰色の秋の空を背に
男はそんな事を言う。
探偵。
こいつ
顔はいいけど危ない系?



