晴の背後に近づき、右手を優しく掴んだ。



そして耳元で囁いた。



「和泉」



晴は声すら出ないようで、固まっていた。



「俺の下の名前。いずみってゆーの」



息を吹きかけ話しかけるたび晴の耳がピクンピクンと震えて、少し興奮した。



「し・・・・・・知ってますよ」



やっと振り絞るように声を漏らす晴。


「自己紹介でそう言ってましたよ」


「覚えててくれたんだ?」


嬉しくてなってさらに密着してみる。


晴の耳に俺の唇がぶつかりそうな距離。



「・・・・・・晴」



甘い声でそう言ってみた。



明らかに体を強ばらせ、力をこめる晴。




・・・・・・なんで嫌がらないんだ?


てっきりもっと早く突き飛ばされるなり殴られるなりするかと思ってた。


けど晴は嫌がりもせず、受け入れもせず・・・・・・


ただ固まっている。


ぐっと引き寄せこちらを向かせると、顔は風呂上がりの時よりも赤くなっていて、目は少し潤んでいた。