田舎へ引っ越してきて
2年が過ぎようとしていた。

私と夏生は結婚はしていない。
今まで通り、夏生は週末には
我が家へと通ってきていた。

それでも、私は幸せだ。

奈津と夏生の距離はこの2年で
だいぶ縮まった。
それはきっと本人達が1番
感じてることだと思う。

奈津はまだ、お父さんなんて
呼べずにいる。

でもきっと近いうちにそう
呼んでくれると私には思えた。

3人で食卓を囲み、笑いながら
他愛もない話をする。
これがどれほど幸せなことなのか
私はそんな当たり前の
幸せで充分だった。

明日、奈津は高校を卒業する。
看護学校に彼女は進学する。
奈津が看護婦を目指すと知ったときは
驚いた。

奈津もまた、この町で
大切な人やものを見つけた。
その大切な人のおかぁさんが
病気がちなため、病院へお見舞いに
通ううちに看護師を目指そうと
決めたそうだ。