「まどか、篤人に補給してもらえ」

「え?」

「キスや。一発で元気になるで」

「い、いやそれは…」

「そうだ。そういえばキスで回復するんだったな」


社長。なんで嬉しそうなんですか。
いそいそと頬にてなんて当てちゃってますけど。え?マジ?


「え?社長?」

「陽の気の補充しないと仕事に戻れないだろ」


そう言って瞼を閉じた社長の綺麗な顔が近づいてきて。柔らかい感触が唇に。
最初はそっと。それから柔らかく噛むように角度を変えて唇を塞がれた。

合わさった部分から、ふわりとしたエネルギーが入り込んでくる。あ、これ社長の陽の気。
私の体に流れ込んだ陽の気が、口を通って胃を通り、肺を通って全身に巡っていく。
やわらかな、温かい、社長の気。
じわじわとした心地よい熱が体に浸透して気持ちがいい。
会ったばかりの時にしてもらった補給のキスと全然違う。
じんわりと染み渡るような熱が心地よかった。


唇が離れて目を開けると、琥珀がかった茶色の目が、まるで愛しいもののように見下ろしていた。


「そんな顔をされると、またキスしたくなる」


社長の右手の親指がゆっくりと私の唇を撫でる。
背中にはソファ。寝かされている私。
再び近づく唇と社長の上半身が私の体に重なって、シャツ越しに熱が伝わってきた。