人を寄せ付けないようにするくせに、独りになると淋しそうに植物に手を伸ばす。
そんな彼と話してみたい。
そんな気持ちが、いつからか。
「それで、あの日、思い切って声をかけたんだ。」
「へえ。」
…そんなこともあったような。
俺ですらそれぐらい記憶の薄いことでも、気づいてくれる人間がいた。
なんだか妙に恥ずかしいんだけど。
「ねえ、風見君。」
俺に向けられる笑顔は、とても大人っぽかった。
「なに。」
「もう風見君は、大丈夫だよ。」
「…」
そうか。この人はもう、ここに俺との思い出を置いていく決意をしたんだ。
「風見君は意外と毒舌だけど、どうでもいい話でもよく聞いてくれるし、義理堅くて律儀で、ほんとは優しいってことを、理解してくれる人がきっと現れる。」
「美晴だけだ。この先も理解してくれる奴なんて、現れない。」

