風見海。
うちの高校じゃ有名な一匹狼。
整った容姿に鋭い目つきは、初めは女子から騒がれていたものの、人を寄せ付けない言動から不良だと噂が立ち、皆たちまち距離をおいた、らしい。
らしい、というのはわたしが彼よりひとつ年上で、わたしがそういう噂話に無頓着だったから。
そんな風見海君に興味を持ったのは、ちょっとしたことがきっかけだった。
「まさかこんな盛大にこけるとは…あはは」
その時間は体育の授業で、わたしはサッカーで思いっきりこけた。
「ほんとなにやってんのもう」
友人にも呆れられる始末で、ほんと散々だと思っていたけど、これが偶然にも、彼の本心を知るきっかけになる。
「いてて...あれ」
保健室に行く途中の花壇に、生徒らしい人がいた。
男の子だ。ていうか、今授業中じゃ…。
そっと覗き込むようにして確認した先にいたのが、風見君だった。
ほんとに不良なんだ。へー。
自分のけがのことも忘れ、わたしの好奇心は完全に彼に向いていた。
授業を抜け出してまで、何やってるんだろう。
なにやらしゃがみこんでいる様子。タバコでも吸うのか!?
目を凝らして彼の手元を見て、驚いた。
彼の手には、根っこのついた花が乗っていたのだ。
叫びたくなる衝動を何とか抑える。
どうやら潰れかけていた花を回復させるために、柔らかい土への入れ替え作業をしていたらしい。
その横顔はすごく優しくて。
この人は、皆が思ってるような人じゃない。
わたしはこのとき初めて気づいたんだ。
それから時々、風見君を見つけると目で追うようになった。

