雨が降っている。

そう気づいたのは、髪の毛先からしずくがぼたぼたと落ちるのを見たときだった。

ふと顔を上げると、カラフルな傘が踊っていたり、カバンを傘代わりにして走っている人がいて、私もそれにならってビニール傘を広げた。

いつもシャッターのしまった商店街は、雨のせいで余計に淋しい。

私は、この商店街が嫌いだ。
こんなみすぼらしい姿をどうして人前にさらすことができるのか。
思わず顔をしかめて、その場を立ち去ろうとした時だった。


足元に生暖かい体温を感じて下を見た。黒猫だった。
しかも、ニャアニャアと、鳴き続けているようだ。

私はイヤホンを外して、しゃがみこんで見つめた。