「どう?似合う?」
「…」
まさか浴衣を着てくるとは思わなくて。
紺地に朝顔の花がちりばめられたそれは、普段からは考えられないくらいの大人っぽさを演出していて、なんていうか、かなり焦った。
美晴は俺の無言を呆れととったのか、少し早口でおどけた。
「やっぱだめかー、褒めてもいいのに!
それは置いておいて、早くお祭り行こうー!!」
「美晴」
「なに?」
振り返ったその人は知らないやつみたいで、やっぱり焦った。
「その…悪くねえ、と思う。」
このヘタレ。
まじで自己嫌悪。
そんな俺を見て美晴は笑った。
「…ありがと。」
泣きそうな顔で。
その顔に、何かが迫ってくるような不穏な警告音が、俺の中に鳴り響いた。