「俺をからかうつもりなら帰れ。」
けど奴は、俺の睨みなんてものともせず、笑って言った。
「からかってないよ。全部本気。
君に一目ぼれしたのも、桜がきれいだと思うのもね。
…だけどたぶん信用してもらえないだろうから、信用してもらえるまで私はここに来るよ。」
この時の言葉は、全部覚えてる。
「風見君の信用に足る人間になるまで、ここに来る。」
繰り返すように言われた言葉に、戸惑いとは別の何かが俺を支配した。
「なんだよ、それ。」
いま思うと。高校に入って初めて自分の心に入り込んでくるこの人を、信じそうになったことへの恐怖心に近かったと思う。
「迷惑だって言われても来るんだから!」
その笑顔が眩しくて。
どうせ何言っても来るんだろう。そう思って俺は白旗を上げた。
「勝手にすれば。」
「!うん!」
それから代永美晴は、だんだんと俺の中に入り込んできて、夏ごろには高校生活の一部となっていた。

