その日は突然訪れた。
そうあれは、高2に上がってすぐのことだった。

人がめったに来ない技術棟は、どこにいても目立つ俺にとって、唯一気の休まる場所だった。

それが。


「あ!来た来た!風見海君!」

あくびしながら教室に入ろうとして、引き戸を何事もなかったかのように閉めた。

なんだ、今の。
だれだ、あいつ。

混乱しているうちに、やつは俺を教室に引きずり込み、爆弾発言をした。

「はじめましてー、代永美晴、高3でーす!
風見君に一目ぼれしたんで、告白しに来ました!!」

「…」

突っ込みどころが多すぎて言葉が出なかったし、俺をからかおうなんてよく考えついたもんだと、あきれてものも言えなかった。

「その顔、しんじてないでしょーって、うわっ」

「用件済んだなら帰れ。」

こういう輩は珍しい。
こんな、面と向かって話しに来るやつは久々だ。

だがしかし迷惑なのは変わりない。

「くうっ、私先輩なのに…明日も来るからね!!」

ドアまで押し出すと、振り返って言い、走って帰っていった。

「…はあ。」

ていうか、今五限目の真っ最中なんだけど。
あいつの勢いに当てられて、しばらくなにも考える気にならなかった。