*野崎神田


3月に入り、なんだか空気が春の匂いに変わった。
私は比較的春は好きで、だけど3年になるからちょっと憂うつだ。

あ、あと眠くなる。


「ふああ…」

欠伸をしながら登校したまでは、よかったんだけど。


「おはよう。野崎。」

「お、はよう、ございます…どちらさま…?」


昇降口で、不審な人物と遭遇した。

制服来てるからここの生徒だけど、マスクにガチガチのメガネ、声もガラガラ。

え、ほんとにだれなの。


「おれだよ、おれ
君の王子さm…」

「せんせー!?不審者がいますー!!」


「待って待って!神田!…けほっ」


「いや分かってるし。
ていうかどうしたのそれ。」


「かふんしょう」


「まじか。じゃ。」


正直神田の花粉症事情には興味がないので、その場を立ち去ることにした。

「ちょっと待て。」

「え。」


中に入ろうとしたら全力で止められた。
マスクメガネ男に真剣なオーラで腕を掴まれている。


…なにこのシュールな図。


神田はメガネを光らせ、こう言った。