「その本。俺借りるつもりだったんだけど。」
借りたばかりの本を読んでいるときでした。
少し不機嫌そうに、静かに声をかけられたときの恐怖といったらもう。
「あ、あの、すみません返してきま…」
自分のベストアンサーを出したつもりでした。
ところが意外にも、彼は。
「いや、読み終わったら返しなよ。
あと、読書の途中に声かけてごめん。
…ちょっと、気になっただけ。」
それだけいうと、さっさと図書室を出ていく早見くん。
…あれ??
なんか、噂と違う…?
思ったより、冷たい人ではないのかも。
それから、私は三日後、無事本を読み終わり、本を返したことを図書室で早見くんに報告しました。
教室で話しかけるのは、なんとなく気が引けました。
早見くんはいつも本を読んでいるから。
「あの、読み終わったので、次、どうぞ」
「ん。面白かった?」
それに図書室での彼は、普段よりもほんの少し柔らかく見えました。
「はい!後半の展開が最高でした!」
「おい、ネタバレだけはやめてよ」
「はっ、努力します…」
「努力なんだ」
「だって、相当面白かったんですもん…」
ほら、今だってすこーしですが、笑ってます。
私は早見くんのことはよく知らないけど、でも図書室は好きなんだろうなって、自分の同士を見つけた嬉しさでいっぱいになりました。

