それに彼女は、あたしのことを勘違いしてる。

あたしは、男を落とす趣味はないし、告白されてもはっきり断るタイプだ。
見た目が派手だからよく勘違いされるけど。

なにより、ね。


「いや、あの子最高に面白い顔してたなあ。」

「ね、面白いもの見られるって言ったでしょ、」

カズくん?

カズくんとわざと呼ぶと、少し鬱陶しそうな顔をしたけど、面白いものが見られたので満足したらしい。
とくになにもお咎めはなかった。


が、カズの目に、なにやら意地の悪い色が差す。

「"惚れられてる"ねえ?」

「…」


それは、言葉の綾というかね、うん。

さっと視線を外すと、いきなり腕を引っ張られ、カズの胸に倒れ込む。
一気に上がる、体温。

耳に、熱い吐息がかかる。
 


「惚れてんのは、お前のくせに。」

「…っ」