黒猫の香音(前編)

白い肌は更に蒼さを増して表情が強張っていく。


まだ近くに居るかもしれない…!



そう思って手元の携帯の小さな照明で懸命に捜し出そうとする。



「陽!?…陽何処に居るの!!?」



辺りを捜して声を掛けても、それらしき物音がしなければ返事もない。



「…御願いだから出て来て…!

陽‼ 陽ー!!!」



馨の声だけが空しくこだまする。

やがてそのこだま達は暗い山中の方へと消えていった。




「陽ぃーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」






無我夢中に泣き叫び、落ち葉や小枝が衣服に絡み付き無様な姿になる。

それでも馨は足を止めようとしなかった。




さっき拾ったどんぐりが残酷にも鮮明に陽を何度も思い出させ、その度に馨は何度も苦しんだ。









だがその夜_




陽が見つかる事はなかった。