黒猫の香音(前編)

ようやく我に返り踵を返すと馨はすぐに陽の居る所へと戻っていった。



きっとまだ独りで泣いているかもしれない_


或いは既に泣き止んでふてくされているかもしれない_



お腹を空かせているかもしれない_



嫌、理由なんてその後で良い…


陽の所へ早く行かなきゃ…!




気付けば頭は陽で一杯で足は勝手に早く駆けていた。

ようやく陽が待っている車へと近付く。


「陽!」