黒猫の香音(前編)

「へぇ、やっぱモテるのか御手洗さん。」


やっぱこの人もそう思ってたんだ…と思うと急に腹立たしくなりもう一本の煙草に火を付けた。


「でも俺、『アイツ』の事あまり好きじゃないんだよな。」


「…え?」



水谷の言葉に思わず拍子抜けする馨。




「確かに仕事は出来るし色んな人から信頼されてるのは分かるけど、なんっつーか…自分に酔ってる感じがするんだよな、見てて苛々する。」




御手洗を嫌っているのは自分くらいなモノだと思っていたので水谷の様な上の立場がそういう人の愚痴を言うのにはとても驚いたし妙に新鮮な感じがした。



そう思うと気持ちがとても楽になり、これで心置き無く『言える』と思った馨は水谷に満面の笑みで答えた。



「その気持ち、凄く分かります…
私も『アイツ』の事大っ嫌いです!」