黒猫の香音(前編)

よく耳にする台詞に思わず動揺し、馨はそのまま勢い良く吸い込んだ煙によってむせまくる。

「…ッホ!ゲホッ、ゲホゲホ…」

「本当に何してんだよ。」


その様子を見てケラケラ笑う人物に馨は『?』となる。


そこには想像していた人物とは全く異なる若い男が隣に立っていた。


「あ…えっ、と…」

「『水谷航聖(みずたにこうせい)』。最近異動してきたんで宜しく。」


聞くより先に男は名乗った。

どうやら別の部署の主任らしい。