黒猫の香音(前編)

ニコッと笑う凪、その視線は瑠華を差し出した人物に向けられた。


「良かったな、馨。
『男』にモテて。(笑)」


瑠華は嫌な笑みを浮かべながらその様子をご満悦で見届ける。


顔色が悪くなってきているというのに馨は汗が止まらない。


「…え、凪ちゃん?
話が違くない?
だって『女』の子だよね?君。
そして私も『女』。
駄目だよ『女』が『女』相手にそんな事…」

「いいえ、私は心は『女』でも『男』の本質は変わらないので、恋愛対象は女です。(ハート)」


最早馨の言い訳など皆無に等しい。


「『ケースバイケース』ってヤツか。
便利なポジションだな。」


「そんな都合の良い話あるかー!
断る!!!」


潔く脱走する馨。


「じゃあ瑠華先輩…」


と色目を使いながら瑠華の方に近付く凪。


「お、俺を巻き込むなー!!!!!」


ついに瑠華も逃げ出す。


「あぁ、待って下さい!
私のプリンセス達~!!!」


「「助けてーーーー!!!!!!」」



こうしてこの日の恋愛戦争は昼休みが終わるまで延々と続けられた。