黒猫の香音(前編)

_数日後。




「へぇ、『凪』ちゃん中々良い所知ってるねー!」

「ここなら屋上じゃなくても開放感あるし、先生達にも目付けられないから凄く良いんですよ~♪」

「螺旋階段か…高さも程良いし、案外誰も来ねぇしな、気に入った!」



以前助けられたお礼にと『安土凪(あづちなぎ)』は偶に利用している憩いの場を馨達に提供した。



「後これ!良かったら食べて下さい。(ハート)」


小さなバスケットを二人の前に差し出し蓋を開ける、中には鮮やかな色をした円形の洋菓子が沢山入っていた。


「マカロンか。」

「流石女子力高いな…」


そう言いながらマカロンを頬張る二人を見て改めて向き合う凪。


「実は話があって…」

「…へ?何?」