そっと流れる涙をわたしは服の袖で拭った。 「泣かないの!」 「だって、嬉しい……っ」 他でもない、藤くんがわたしを見つけてくれたことが嬉しくて。 こんなにも自分がすぐ泣いてしまうなんて思わなかった。 「愛子…、わたしね、藤くんのこと好きなんだ」 みんなと離れて神社の階段に腰掛けていたわたしは地面を見て愛子に言った。 「うん、知ってるけど。何を今更?」 「……そ、そうなの」 もっと驚いた顔するのかと思ったら、普通の顔をしている愛子に拍子抜ける。