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無事、みんなのいる場所まで戻ることができた。
依田くんはみんなに責められてて、泣きそうになってるのを見ると笑えてきちゃった。
怖い思いもしたし、何やってくれてるんだとも思ったけど、藤くんと2人で話せたからいいかなって思ってしまう。
「なーほ!」
みんなが集まってるところから一人外れた場所で座っているわたしに話しかけてきたのは愛子だった。
「な、なに?」
暗くても分かるほどニヤニヤした愛子の表情は、わたしにとって都合が悪いことを言われる可能性が凄く高い時だ。
「柊真くん、凄かったよ」
「……え」
「奈帆が1人なんじゃないかって話になった時、真っ先に動いたのは柊真くんだったよ。依田のこと怒ってたみんなとは違って、奈帆のことだけ考えてた」
「……っ」
「見つけてもらえてよかったね、奈帆」
愛子の言葉に返事をしないとダメなのに、涙が出て出来なかった。

